ノベルティをコラボやキャラクターで作りたい! 景表法・著作権法の注意点

販売促進や企業イメージのアップに効果的なノベルティ。他社と差別化したオリジナルグッズにこだわるなら、異業種の企業や有名人とコラボしたり、自社のオリジナルキャラクターを作って名入れノベルティを作成するという方法があります。

しかし、コラボは他社と関わるため、どのように制作を進めたらいいかわからないことも多いはず。自社オリジナルのキャラクターを作る場合も、著作権や肖像権などの問題が気になります。

そこでこの記事では、ノベルティを作る上で担当者が必ず知っておきたい景品表示法について解説すると共にコラボ作品やオリジナルキャラクターのノベルティ作成の流れや注意点もご紹介します。

ノベルティ制作の基礎知識!景品表示法(景表法)とは

ノベルティ

デザインに関する権利の「知的財産権」とは別に、ノベルティには「景品表示法」による制限があります。

景品表示法とは、正式には「不当景品類及び不当表示防止法」と呼ばれる、消費者を守るための法律です。

広告に書かれていることや商品のパッケージに表示している説明が事実かどうかを取り締まるとともに、ノベルティなどの景品にまつわるルールも規定しています。

商品に比べて高価すぎる景品を配ると、景品がなければ買わないようなクオリティの低い商品や割高の商品を消費者が購入してしまう恐れがあるためです。

また、各企業がより話題になる景品を作ることによって売り上げを伸ばそうと競争すると、販促にばかり力を入れてしまい、商品やサービスそのものを改良しようとする努力を怠る可能性があります。

そのため景品表示法では、景品の種類や配り方、それぞれのケースで景品の上限価格などを設定しており、規定を破るとかなり厳しい罰則が与えられます。

「景品≠ノベルティ?」定義をきちんと知ろう

ノベルティ

販促PRを目的に配布するノベルティは、そもそも「景品」の定義に当てはまるのでしょうか?

景品という言葉の意味を正しく知り、ノベルティを配る際に気をつけなければならないことをご紹介します。

景品表示法(景表法)による景品の定義

景品表示法における「景品類」とは、顧客を誘引するための手段として、事業者が自己の提供している商品・サービスの取引に付随して提供する物品やサービスのことです。景品類に該当する場合は景品表示法に基づく景品規制が適用されます。


参考資料:景品規制の概要(消費者庁ホームページ)
(※令和2年現在)

「商品を購入してくれたお客様を旅行やコンサートへ招待する」、あるいは「ポイントカードにポイントを付与する」などのサービスも景品に相当します。

基本的には、イベントやお店に行きたい気持ちになったり、ある商品を購入したくなったりという気持ちを誘発する要因になるサービスはすべて景品です。つまりノベルティもこの景品の定義の中に含まれることになります。

ノベルティの上限価格に注意

ノベルティは主体である商品そのものの取引価格によって上限価格が決まります。

限度額よりも高価な景品を配ると、消費者庁によって景品配布を禁止されてしまいます。せっかくノベルティを作ってもお金が無駄になるどころか、自社の信用にも傷を付けてしまうのです。

「景品」「賞品」「ノベルティ」違いは分かる?

景表法が定義する「景品」の分類では「一般懸賞」「共同懸賞」「総付景品」の3種類に分けられます。それぞれ上限価格や渡し方が違うので注意が必要です。

単に「景品」とだけ呼んでいる場合、3種類のうちのどれを指しているのか、誤解のないように注意しましょう。

一般懸賞

一般懸賞とは、抽選・ビンゴ大会・クイズ大会などを開催し、選ばれた人に賞品としてモノやサービスを提供することです。

景品総額の上限は、懸賞によって得られると予想される売上げ予定総額の2%と定められています。

また、景品の最高額は、取引価額5,000円未満の場合は取引価額の20倍まで、取引価額が5,000円以上の場合は10万円までです。

共同懸賞

複数の事業者が共同で開催する懸賞で、ショッピングモールで行われる歳末セールの福引などの賞品がこれに相当します。

景品の総額上限は、懸賞によって集客して得られる売上げ予想総額の3%とされ、景品の最高額は取引金額にかかわらず30万円までです。

総付景品

「総付景品(そうづけけいひん)」、もしくは「ベタ付け景品」と呼ばれるものは、イベントやお店に来た人全員にもれなく渡すもの、あるいは商品を購入したりサービスを利用したりする条件を満たした人全員に配られる景品を指します。

したがって、ノベルティは総付景品の一種です

総付景品の上限金額は、商品自体の取引価額が1,000円未満の場合は200円まで、1,000円以上なら、取引価額の2割までの景品を渡せます。

たとえば3,000円の商品を買ってくれたお客様にノベルティを渡す場合、上限金額は600円になります。

「景品」「賞品」「ノベルティ」の見分け方

・「お客様が抽選に当たったりじゃんけんに勝ったりなど、偶然性・優劣性を元に提供される景品類」が「懸賞の賞品」

・「来店した・商品を●円以上購入した・先着●名、などの条件を満たせばもれなく全員がもらえる景品類」が「総付景品(ノベルティ)」

以上のように考えると分かりやすいでしょう。

景品表示法に違反したときの罰則

景品表示法違反 ノベルティ

景品表示法は、消費者の利益を守ることを第一にした法律です。そのため、仮に事業者が消費者を騙そうとしたわけではなくても、違反すれば処罰の対象になります。

過大な景品類の提供をするなど、景表法に違反した場合は、消費者庁によって措置命令などの措置が下されます。

措置命令に従わないと、景品表示法第36条により事業者の代表者等に対して「2年以下の懲役又は300万円以下の罰金」が科せられます。さらに事業者(法人)に対しては景品表示法第38条により3億円以下の罰金が科せられます。

罰金の金額もかなり大きなものですが、消費者庁によって企業名がインターネット上で公開されるため、消費者からの信用を失うことになり、痛手は計り知れません。

ノベルティのデザインは知的財産権に注意

ノベルティ

「著作権」「肖像権」「商標権」などの言葉を聞いたことのある方は多いでしょう。これらの権利は「知的財産権」という大枠の中に含まれます。

コラボやキャラクターで作るノベルティは、オリジナリティや話題性を出すために効果的です。ただし、ノベルティを作る際には知的財産権に触れないか注意する必要があります。

「知的財産権」とは各種の権利をまとめた総称

人の知的活動によって生み出されたアイデアや創作物などには財産的な価値を持つものがあり、それらは「知的財産権」によって法的に保護されています。

たとえばコラボでノベルティを作るとき、人気のアニメやイラストを参考にしたいと思うかもしれません。しかし、すでにあるキャラクターを使ってノベルティを作るのは著作権の侵害に当たります。

また、芸能人やスポーツ選手などの写真を無断で使うと肖像権の侵害になります。

知的財産権の範囲は広く、その中でもノベルティ制作に直接関わってくるのは著作権・肖像権・意匠権・商標権が主なものです。それぞれの内容を簡単にご紹介しましょう。

著作権

文芸や美術、音楽など、作者の思想や感情が表現されたものを著作物といいます。創作した人に無断で著作物が複製・販売されないよう、著作権で守られています。

肖像権

本人の許可なく、顔または体を撮影・公開されることから守られている権利です。有名人だけでなく一般人にもある、人格権に即した権利です。

意匠権

物や建築物、画像のデザインを保護する権利です。例としてパソコンや自動車などの外観、アプリのアイコン画像などがあげられます。

商標権

企業やブランドなどを表すロゴやキャラクターで、独占的に利用できる権利のことです。

既存のキャラクターやデザインは使用しないこと

企業やブランドのロゴマークやアニメなどのキャラクター、芸能人の写真、商品のデザインなどをノベルティにすることはこれら知的財産権に触れてしまうため、絶対にしてはいけません。

意識せずに作ったノベルティでも気づかずに知的財産権を侵害してしまうケースもあるため、十分な注意が必要です。

コラボのノベルティを作るメリット

ノベルティ

有名人や有名キャラクター、あるいは他社ブランドとのコラボレーションでノベルティを制作するなら、知的財産権の理解を踏まえてそれに反しないようにするのが大前提。その上でノベルティ制作に取り掛かりましょう。

ノベルティを配布する以上は、その効果やメリットを最大限に引き出したいものです。何のためにコラボをするのか明確にしておくことで、コラボ企画をスムーズに進めることができるでしょう。

より多くの層にアプローチできる

コラボでノベルティを作ることで話題性が高まり、より多くの層にアプローチできます。さらに、1社だけではできなかったことが提供できるというメリットもあります。

例えばゲーム会社と人気ファッションブランドのコラボで考えてみましょう。ゲームのキャラクターをブランド監修でデザインしたTシャツなら、そのファッションブランドを好む層にまでアプローチが可能になります。

また、意外性のある業種とのコラボは話題になりやすく、より多くの人に知ってもらえるでしょう。コラボすることによって、幅広い層に効果的なアプローチができるわけです。

コラボノベルティで効果を出すためには

「コラボによりどのような効果が見込めるのか」といった点について、事前に構想(コンセプト)を固めておきましょう。

自社を認知させたいターゲット層はどのような層なのか、その層にアプローチするためにはどうすれば良いのか。事前に効果を見込んでおく必要があります。

効果が見込めないまま、知名度だけを頼りに安易なコラボをしてしまうと、コラボした意味がなくなり、コストだけを消費してしまうことにもなります。

逆に言えば、しっかり構想を練ってコラボを運営すれば、お互いのブランドの強みを活かした相乗効果が見込めるはずです。

コラボで作られたノベルティの実例

ノベルティ

それでは実際に、コラボで作られたノベルティの実例を見ていきましょう。より具体的な企画に繋がるはずです。

ツアーTシャツ

音楽関係の企業とアパレルブランドがコラボしたノベルティの例として、ツアーTシャツが挙げられます。

音楽アーティストのTシャツデザインを、アパレルブランドが監修したケースです。

アーティストのイメージとアパレルブランドのイメージがうまく調和し、アーティストとしてはアパレルブランドのファン層をうまく取り入れることに成功しました。

1社だけの場合と比べ既存ユーザーの満足度も向上し、コラボが成功した事例といえるでしょう。

オリジナルデザインのグラス

飲料品メーカーと人気キャラクターのコラボで、オリジナルデザインのグラスが作られた事例もあります。

応募キャンペーンのノベルティとして展開し、人気キャラクターのファン層を取り入れることに成功しました。

ギターピック型キーホルダー

ギターピックの製造企業と音楽アニメがコラボし、ギターピック型のキーホルダーを作った事例もあります。

ギターピックをより広い層に知ってもらうため、音楽アニメとコラボして成功しました。ノベルティによって、他業種のファンとの接点を作れたというわけです。

コラボでノベルティを作る流れ

ノベルティ

コラボでノベルティを作成する具体的な流れについてご紹介します。

メッセージやコンセプトを決める

コラボのノベルティを作るには、メッセージやコンセプトを明確にすることが重要です。

企画の段階で、コラボのノベルティで顧客に何を伝えたいのか、どのようなコンセプトに基づいて作られているのかを掲げます。

これらを明確にすることで、後から立ち返って「メッセージは伝わるのか」「コンセプトにマッチしているか」といった振り返りができるでしょう。

アイテムを選ぶ

次に、明確に掲げたメッセージやコンセプトをもとに、アイテムを選びます。どのようなアイテムであれば喜んでもらえるか、自社を知ってもらえるのかを考えましょう。

また、配布するターゲットやシーンも設定し、それらに合うものを作ることも大切です。

コラボする企業・ブランドを選定する

こちらもコンセプトやメッセージをもとに、どのような企業・ブランドの協力を得られれば最もコンセプトに沿ったノベルティを提供できるのかといった視点で選定すると良いでしょう。

アイテムを選ぶ前に企業・ブランドを選定しても良いですが、コラボを持ちかけた際に相手側にも何らかのメリットがないと快く引き受けてくれません。

そのため、より具体的にコラボ企画を提案できるよう、アイテムの選定まで行っておいた方が無難です。

選定した企業・ブランドと打ち合わせ

コラボ企画を持ちかけ、打ち合わせの日程まで確保ができたら実際に打ち合わせを行います。

ここでは、ノベルティの配布までの計画と役割を明確に共有することが大切です。計画や役割が明確に共有できていない場合、後々トラブルの種になってしまいかねません。

後はその計画に沿って企画を進めていくのみです。

コラボをする際の注意点

メリットの大きいコラボですが、他社と関わることで注意すべきこともあります。

まず、意識しておかなければならないのは「相手任せにしない」ことです。コラボをお願いしている立場上、相手に負担をかけ過ぎるのはトラブルの原因になります。

また、コラボすれば良いというものでもありません。コラボにより効果を出すためには、自社の強みと他社の強みの相乗効果を考える必要があります。

やみくもに人気のブランドとコラボしたいというだけでは、コラボの効果も期待できません。どのような相手とどのようにコラボして、最終的にどのような効果が期待できるのか、事前に構想を固めておきましょう。

コラボ相手とは、単発ではなくこれから長年協力し合うパートナーになる可能性もあります。そのため、「関係性」を重視しながらコラボ企画を進行していきたいものです。

自社オリジナルキャラクターでノベルティ制作

ノベルティ

企業のオリジナルキャラクターをノベルティにすれば、キャラクターによって企業イメージが定着しやすいでしょう親しみがもたれ、大きなアピール効果をもたらします。

ノベルティ制作業者に依頼するのが確実

企業のオリジナルキャラクターを入れたノベルティを作るなら、専門のノベルティ制作業者に依頼しましょう。

コストを抑えたい場合は制作業者が事前に用意している既製のグッズにキャラクターをプリントする方法が適しているでしょう。

ノベルティ制作の予算や期限に余裕があり、自社のオリジナリティにこだわりたい場合は、ノベルティの素材自体からオリジナルで制作する方法もあります。

その場合は業者の制作実績・対応の柔軟性などを比較検討し、自社のイメージに合うサンプルをすぐに作ってくれるような提案力のある制作業者を選ぶのがおすすめです。

キャラクター入りノベルティ用に適したアイテム

ノベルティの素材は、日常的に使える実用的なものだと手に取ってもらいやすく、それに伴ってPR効果も発揮できます。

例えばタンブラー、ミラー、ランチボックス、うちわ、エコバッグ、キーホルダー、ポーチなどはキャラクターを印刷しやすく、日常生活でも役立つアイテムといえるでしょう。ノベルティにして配布すれば先方に受け取ってもらいやすく、喜ばれるはずです。

まとめ

ノベルティ

ブランドのコラボやキャラクター入りで作るノベルティの場合は、著作権や肖像権などの知的財産権に注意が必要です。

完全オリジナルでノベルティを制作できればインパクトが強くて他社との差別化が図れます。宣伝効果や会社のイメージアップを強力に後押ししてくれるでしょう。

ノベルティの企画担当者に指名されたら、関連法規の最新情報に気をつけながら販促効果の高いノベルティ制作にチャレンジしましょう!