ノベルティと販促品。いずれも企業が商品やサービスをPRするために配布目的で作成されるアイテムです。
「ノベルティ=販売促進に使うもの」というイメージはあっても、それぞれの違いや意味を理解していない方も多いのではないでしょうか。
今回は両者の定義や使い方の違いを解説するとともに、ノベルティ作成時の注意点もご紹介します。
ノベルティとはどんな役割を担うもの?
多くの企業やお店で配られる「ノベルティ」。どんな使い方が適しているのでしょうか?
ノベルティは既存顧客を引き止める目的
ノベルティは主に主に既存の顧客へ向けての自社や商品、サービスをRPする目的で使われるものを指します。
どの企業にも競合のライバル企業が存在し、ライバル企業が自社企業の商品やサービスに似たものをリリースすれば、既存の顧客がそちらに行ってしまうかもしれないという恐れが常にある状態です。
このように明確に意識するライバルが存在する場合、ノベルティは他社との差別化と、既存顧客を引き止めるために活用します。既存顧客に対してノベルティを贈ることで、自社に対するイメージアップが図れるのです。
日常的に使うアイテムに社名やロゴを入れたオリジナルのノベルティを作成すれば、配布元企業の名前が身近に感じられるため、顧客に自社の存在感をアピールできます。
ノベルティが顧客の手元にある限り、いつでも自社を思い出すきっかけになってくれるでしょう。
自社に愛着を持ってもらうことに成功すれば、ライバル企業が似たような商品やサービスをリリースしたとしても、顧客はこれまでどおり自社を贔屓してくれるはずです。
ノベルティ用に適したアイテムは?
ノベルティとして使うのに適した商品は、実用性が高く日常的に使えるもの。いつも使ってもらうことでPR効果を維持するからです。
また、ノベルティグッズに使うアイテムは企業イメージと合っていることを選定基準にしましょう。
たとえば「化粧品を取り扱う企業なら女性に喜ばれるアイテムを」「IT系の企業ならUSBを」というように、自社のビジネスとマッチしたアイテムを使うと宣伝効果を高めることができます。
また、ノベルティ用のアイテムはシンプルで幅広い年齢層に好まれるモノを選ぶことも重要なポイントです。
ノベルティ用には適さないもの
反対に、配布してもイメージアップにつながらないノベルティ例として、デザイン性の良くないグッズが挙げられます。
特にキーホルダーなどアクセサリー要素の高いアイテムの場合、デザインのクオリティが低ければ利用価値がありません。
インテリアグッズやカレンダーなど、普段目にするアイテムの場合もデザインが良くなければ受け取ってもらえないでしょう。
ノベルティは限られた予算で作るものですが、最低限のクオリティはキープしなければなりません。安かろう悪かろうではノベルティを作る意味がなくなってしまいます。
自社のイメージと合ったデザインにこだわり、顧客に喜んで使ってもらえるアイテムを用意しましょう。
「販促品」の具体的な役割
「ノベルティグッズ」と「販促品」は混同されやすく、とくに違いを意識していない人は多いでしょう。
そもそも販促とは「販売促進」を略した言葉で、販促品は販売促進に際して用いられるものです。ここでは販促品の意味と目的をご紹介します。
販促品は見込み客に向け広く打ち出す
「販促品」とは、一般の見込み客を対象に、自社の製品やサービスへの認知度を高めたり、イメージ向上につなげたりするために配布する品物を指します。
そして最終的に自社の製品やサービスの販売促進へ結びつけ、新規開拓に役立てることが目的です。
受け取った人に喜ばれる販促品なら、相手にはポジティブなイメージが残り、自社のイメージ向上の手助けとなるでしょう。
ノベルティ同様、認知度を高めるためグッズには企業名やサービス名のロゴなどを入れる場合が多いようです。
購買意欲を刺激する効果も
販促品を配布するもうひとつの目的は、消費者の購買意欲を刺激することです。
特に今まであまり例のない新商品をPRしたい場合、商品購入の一歩前のステップとして認知度アップの役目に特化した販促品を配布するケースが多いようです。
たとえば商品が飲食物なら、ショッピングモールなどで試飲・試食セットを配布するのも立派な販促物になります。実物の試食・試飲用サイズをおしゃれなケースに入れて目立たせるというのも一つの方法です。
まずは自社の商品やサービスを知ってもらうことで購買意欲をかき立てる意図があります。
販促品もニーズとデザインが重要
販促品に適しているものは、顧客ターゲットのニーズに合っているもの、実用性が高いものです。
また、ノベルティと同じく企業イメージにあっていることも大切です。
美容関連の企業ならば美容関係の販促品がよく、ビジネス系ならば文房具、主婦を相手に配るなら家庭で使用できるものが良いでしょう。
反対に販促品に適さないのは、ノベルティと同じくデザインのクオリティが低いものです。
質やデザインが悪ければ企業の商品やサービスのイメージが悪くなるので、販促品を用意するにはそれなりのコストが必要です。
相手に喜んで受け取ってもらえるか、長く使ってもらえるかを考えて作るようにしたいですね。
ノベルティと販促品、目的ごとの使い分け
ノベルティと販促品はいずれも自社や商品、サービスをPRするために配布するものですが、厳密には使いどころが異なります。
自社がどんな効果を期待してこれらのグッズを制作するのか、最初の段階で確認しておく必要があります。
ノベルティにはプレミア感を
ノベルティは既存の顧客に対して配布することが多く、「〜〜円以上購入された方に」「〜〜参加特典として」などと条件を限定するなど、記念品としての側面を持ちます。
たとえば化粧品やアパレル企業の場合は、既存商品とは別に宣伝目的として化粧ポーチなどのノベルティを開発するケースが多くあります。
そして「〜〜円以上の購入者限定」などと条件付きで配布するため、非売品であるそのノベルティにはプレミアがつき、既存の顧客はノベルティ欲しさに「〜〜円以上」という条件を満たすよう商品を買い求めます。
また、ノベルティがおしゃれだったり変わり種だったりすれば、SNS上で話題になる可能性もあり、高いPR効果に期待が持てるでしょう。
販促品は目を引くインパクト重視
一方の販促品は、特に配布する相手の条件を設けておらず、一般の見込み客に対して自社や商品、広くサービスをPRするために配布するものです。
既存顧客に渡すノベルティとは異なり、特に配布の条件を定めることはありません。
たとえば街頭や店頭で配布されるポケットティッシュやうちわなどが販促品の代表的なものです。
販促品の目的は、配布された販促品をきっかけに見込み客が実際に自社の商品やサービスに興味を持ったり、購買してくれたりすることです。
販促物は、社名や商品名が記憶に残りやすいよう、ある程度強めのインパクトあるデザインにしたほうが目的に叶うケースが多いでしょう。
このようにノベルティと販促品にはそれぞれ異なる側面があるため、企画する際には目的を明確にしましょう。
ノベルティ商材の選び方
ここからは、PR効果を発揮するノベルティの選び方について紹介します。
受け取った方に喜んでもらい、会社やお店に対して好感を持ってもらうためには、ノベルティとして作成するアイテムの選び方に注意が必要です。
相手の年齢層や趣味に合わせる
贈り物をするとき、相手が喜ぶものは何かを考えることはとても大切です。
パートナーへのプレゼントを買うとき、パートナーの趣味や最近どのようなことに興味があるかなどを考えて選びますよね。
ノベルティを選ぶ場合も同様です。顧客の性別、年齢層、職業などをすべて分析してノベルティを選びます。
具体的な新商品の販売促進が目的なら、どのような人がその商品を手に取るかを考えてみましょう。自然と受け取って喜ばれるグッズが見えてきます。
たとえば、同じ30代の女性でも、30代前半と後半では異なるもの。仕事を持っているか、子どもがいるかなどターゲットを分析することが大切です。
また、子育て世代に来て欲しいイベントや車の販売店なら、子どもをターゲットにしたグッズをノベルティにするのも1つの方法です。
忙しい世代はノベルティを目的に出かけることは少ないですが、子どもが喜ぶならと気持ちが動くことが多いものです。
渡すシーンに合わせてグッズを選ぶ
イベントでノベルティを渡す場合、イベントの種類によってアイテムは異なります。イベントにふさわしいノベルティを特別に企画して記念品的な意味合いをもたせましょう。
また、同じ車の販売店でも、来店しただけで渡す場合と成約したときに渡す場合とでは、ふさわしいノベルティのグレードがまったく異なります。
また、アンケートに協力してもらった際にもノベルティを渡すと効果的です。
アンケートに答えたということは少なからず興味を持ってくれたというわけで、ノベルティを渡すことでさらに企業の好感度が上がるでしょう。
長い目で自社に好感を持ってもらえるものを
自社に対する好感度をアップするためにノベルティを配るのは、すぐに売り上げに結びつくわけではありません。
しかし、「次回必要なものがあったらこの会社のアイテムを買いたい」と好意的に思ってもらう「種まき」の効果は期待できます。
また、学生に好まれるアイテムをノベルティにして会社の説明会で就活生に渡すのも効果的です。
採用難の時代ですが「この会社で働きたい」と思ってくれるきっかけになるかもしれません。ノベルティは優秀な社員獲得のためにも一役買ってくれるでしょう。
社会情勢にフィットすればより好感度アップ
社会情勢を意識したアイテムをノベルティにすると企業イメージのアップに貢献してくれます。
現在ではエコロジーが注目されており、関連グッズがよく売れているので、エコグッズをノベルティに採用すれば誠実な企業姿勢をアピールできるでしょう。
たとえば、最近ではマイクロプラスチックが原因でクジラの死体が見つかった事件などが印象的で、プラスチックを使いたくないという方が増えています。
そんな時世を反映したノベルティのアイデアとしては、マイボトルやタンブラーなどのペットボトル削減に貢献するアイテムが挙げられます。
その他、リサイクル素材で作られたもの、自然素材のウッド製スマホスタンドなどの作成も「先進的で環境保護意識の高い企業」をアピールするのにおすすめです。
また、インフルエンザなどが流行っている冬の時期に除菌グッズをノベルティにすると「気遣いのある企業だ」と好印象を持たれるでしょう。
受け取って利用してもらえる可能性が高まるほどに、ノベルティのPR効果がいっそう高まるでしょう。
販促品に適した品の選び方
次に、販促品の選び方について紹介しましょう。
PR効果を充分に発揮させるためには、一般消費者に喜ばれるアイテムを配布することが必須です。
ここではどのような点に注意してアイテムを選べばいいのか、具体例を挙げながら解説しきます。
携帯しやすい大きさを第一に
第一にサイズ感に注意しましょう。便利な販促品であっても、バッグに入らないような大きいものでは持ち運ぶのも大変です。
消費者側から「荷物になってしまう」と敬遠されるようなものではなかなか受け取ってもらえません。また、企業側としても大きいものは気軽に配りにくいのが難点です。
そのため、販促品は「持ち運びが簡単なもの」を前提に選びましょう。
例えば、ポケットティッシュやボールペンなどは実用性と携帯性を併せ持つだけでなく、1個あたりの作成コストが低いため、多くの企業が販促品として採用しています。
「なるべく多くの人に販促品を配布したいが予算が少ない」という場合は、定番アイテムのポケットティッシュやボールペンがおすすめです。
自社商品のターゲット層が喜ぶものを
販促品を選定する際に明確化しておきたいのが、自社製品やサービスなどのターゲット層です。ターゲット層が子どもの場合、キッチン用品を配布しても効果は得られません。
ここでは、ターゲット層別に喜ばれやすい販促品の例を見ていきましょう。
主婦層向けの販促品
主婦の場合、家事をするときに使用するキッチン用品がおすすめです。おしゃれな日用品も人気があります。
おしゃれなステンレスボトルやキッチンスポンジ、エコバッグなどは日常的に使えるため、もらうと嬉しいと感じる主婦は多いでしょう。
会社員向けの販促品
会社員なら、仕事に使える文房具がおすすめです。予算があまり取れない場合には、安く作れるボールペンやメモ帳などでも喜ばれます。使用頻度が高いため、効果的なPRが期待できます。
販促予算が取れそうなら、ハードカバーノートやポケットバッテリーなどもおすすめです。
子どもに喜ばれる販促品
子どもに喜ばれる販促品を選ぶポイントは、「可愛らしさ」です。
子どもに人気のキャラクターをモチーフにしたタオルやマグカップは、人気を集めるに違いありません。
ただし、後述しますが、版権ものの取り扱いには注意が必要なので、アニメや漫画のキャラクターを用いたい場合は、必ず下記の項目をチェックしてください。
ノベルティ・販促品の作成時は法律違反に注意!
ノベルティ・販促品を配る際には法律に触れないように注意が必要です。
知らずに法を犯してしまうことがないように、きちんと法律を知った上でノベルティ制作に取り掛かりましょう。
ノベルティ・販促品の制作で関わってくる重要な法律は、一般的に「景品表示法」として知られている「不当景品類及び不当表示防止法」です。
景品とは商品を購入したときに渡される品物のことで、ノベルティなどの品も含みます。
景品表示法は、景品目当ての客に対し、クオリティが著しく低い製品を不当な価格で販売しないようにするための法律です。この法律では、配るアイテムの値段が決まっています。
来店しただけで渡すノベルティや購入金額によって渡されるノベルティの金額は、取引金額が1,000円未満の場合に200円、取引金額が1,000円以上の場合には取引価格の2割と決められています。
またノベルティを懸賞として配布するケースでは、懸賞で当たる景品の総額が懸賞に関連する売上予定総額の2%を上限とする、などと金額が細かく規定されています。
その他、ノベルティを製作するうえで重要な法律が「著作権法」です。
音楽やイラスト、写真など誰かの手によって生まれたものには著作権があり、その著作権を守るための法律になります。
当然のことながら、有名なアニメのキャラクターなどをノベルティに使うことはできません。著作権を持つ人に承諾を得ることが必要です。
そのことはもちろん多くの方が知っていることですが、一般の方が描いたイラストなどはどうでしょうか?
商標などは申請して初めて法によって守られるようになりますが、著作権は著作したその時点で生じる権利です。
そのため、特別な申請は必要なく、誰でも作品を作った時点で著作権を持っています。
つまり、誰かが描いたイラストをネットなどで拾って勝手に使うことはできません。
法人の場合、罰金はかなりの高額になります。民事裁判で賠償金を要求される可能性もあるため、オリジナルデザインのノベルティを配りたい場合は業界事情に詳しいノベルティ専門業者に依頼したほうが安心です。
まとめ
ノベルティと販促品はいずれも自社や商品、サービスをPRする目的で配布するものです。ただし、販促品と異なりノベルティには記念品としての役割があります。
自社で顧客向けにアイテムを配布することになった際は、目的やシーンに合わせてノベルティにするか販促品にするかを判断する必要があります。
また、いずれも作成の際には関連法規に違反する要素がないか複数人でチェックしましょう。「知らず知らずのうちに法律を犯して企業イメージが下がってしまった」などということがないよう、今回の記事を参考にノベルティや販促品の作成に取り組んでください。